楕円銘板の修復

 楕円銘板は車両の妻面に取り付けられ, 製造・改造所を表すものと車籍表示するものの二通りがありますが,大きさ形状は同じです. 長年の風雨による痛んだ塗膜や錆落しが,修復作業のほとんどを占めます. 塗膜の硬いもの(特に新幹線系)や粘りけのある下塗りはハツリに苦労します.

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錆と欠損のある銘板
一方の取付穴部分が欠損し,錆だらけの銘板です. 始めにトイレの洗剤(サンポールなどの塩酸系)に漬けて,錆落としをします. 錆の落ち具合を見ながら,ワイヤブラシでこすっては漬ける作業を繰り返します. ゴム手袋は必須で,有毒ガスが発生するので屋外作業です.
欠損部をグラインダーで真っ直ぐに削り, 不要な銘板から現物合わせで取付穴部を切り出し,継ぎ合わせます. 接着でも良いのですが強度が弱いので,ここでは鋳物用溶接棒で裏側をスポット溶接し, ビードを削って平滑にしています.
自動車修理用の厚塗りパテで溝や縁取り部を整形し,サンドペーパーで仕上げます.
錆止めと平滑化を兼ねて自動車用の下塗り材(プラサフ)を塗ると, 継ぎ目がほとんどわからなくなります.
最後に以下の順番で仕上げ塗装をします.
1)色塗料(ラッカーなど)を吹く.
2)字をなぞる(アサヒペン・水性カラーパレットなど).
3)クリア塗料を吹いて保護膜を形成.
赤外線乾燥用電球を使って焼き付け塗装すると,きれいに乾き塗膜も丈夫になります.

塗膜と錆とのある銘板
黒塗装がところどころ剥がれかけ,下塗りの赤ペンや錆も出ていてとても汚い状態です.
塗膜は全検時の重ね塗りと長年の乾燥で剥離専用の溶剤でもビクともしないので, 様々な工具を使って物理的に剥がします. 特に金槌の尖った側で表面を叩いてハツルと,手間はかかりますがうまく剥離できます. ただしカンカンと音がうるさく,近所迷惑になるので要注意です. 隅部や平面部はドライバーをノミ(スクレーパー)代わりにすると効率が良いです. 塗膜が目に入らないようにゴーグルを使用し,シートなどを敷いて塗膜片回収に備えます. 入り組んだ部分は針などのほかに,サンドブラストなども使用します.
ハツリ後,サンポールによる錆落としを行い,鋳物の素地を出します.
上と同様に仕上げ塗装して,お宝が完成しました.

修復した楕円銘板のいろいろ