日付印字器の修復

 硬券の日付を入れる印字器で,タイプライタのように活字で印字します. 明治時代は外国製でしたが,大正時代から「菅沼タイプライター営業所」により国産が始まり, 昭和40年代からは「天虎工業」製が出札口の必需品でした. 現在は生産されておらず旧製品の活字も年号に対応できないため,回転式ゴム印で代用している鉄道会社が多いようです. なお日付印字器に関してはDr.TTさんのHP にも詳しい情報があります.

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本体修復の流れ
長年のお勤めご苦労様でしたという状態で,本体は塗装が剥げて錆だらけ, 内部もインクと埃で固まっているところがあります.
蓋を止めている真鍮のリベットを外しますが,蓋に傷がつかぬよう周辺をテープで養生し, マイナスドライバやニッパなどで少しずつこじながら慎重に抜いていきます.
部品の位置を覚えておくため,略図上にテープで貼りつけるとともに,写真を撮っておきますます.
本体の塗膜を剥がし,錆落としもして,パテで下地を整えた状態です. ピン類は傷をつけないようにテープで巻いてあります.
下塗りをした後,仮組をして様子を見ます.
部品の修復
押さえロールなどの可動部品末端のゴムは劣化している場合がほとんどなので, 市販のゴムクッション等で補修します. 活字ブロックはばらして洗浄可能ですが,全体が樽型になっているため 活字の曲率が微妙に異なり,パーツの順番を間違えないようにする必要があります. また活字間にはシムが入っているので,この向きや場所も覚えておきます. 洗剤や溶剤,歯ブラシ等を使い,活字を壊さないように慎重に洗います.
インクパッドにはナンバーリング用のフェルトを長さを揃えて切断し,虫ピンで元通り刺して固定します. 純正パッドは幅が広いのですが,活字部分にパッドが当たるように位置を調整すれば十分使えます. インクもナンバーリング用を用い,パッドに染み込ませます.
切符の案内板は錆びていることが多く簡単な板物なので,ステンレス板で作り直しています. ばねは長さと強さの異なる3種類が使用されていますが,欠損している場合は,ホームセンターにあるもので代替可能です. 元からあるものは,洗浄してインク汚れを落とし,錆止めを吹いておきます.
完成
上塗りをして完成です. カバー類はこれ以上劣化が進行しないように,洗浄してクリアー塗料を吹いています.
印字圧は右下奥のねじで加減しますが,切符の厚さに応じたかなり微妙な調整が必要です.